「知的障碍者の遊園地利用の規制」を考える

西日本新聞のサイトが「知的障害者に遊具規制」という記事を掲載していた。概要は以下の通り。


・ある遊園地が知的障碍者の遊具利用を制限した。利用を制限する遊具は、1年半かけて遊具のメーカーと検討を重ねたという。
・遊園地を訪問した軽度の知的障碍者カップルがその旨を伝えられ、ショックを受ける。
・その際は駆けつけた母親が障碍の程度を説明して遊具の利用を認められた。
・遊具の利用は認められたが障碍者側は傷つき「悔しい」と言っている。
・識者や障碍者団体の関係者は、一律禁止は障碍者の人権侵害だと述べ、付添人や障碍者側の意見も聞くべきだとしている。

本文はこちら→http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/277275


記事は全体的に遊園地側に対して批判的で、障碍者側に同情的である。


しかし、よくよく考えてみると遊園地側のとった対応がそれほどおかしいとは思えないのである。どうにも、表面的な文言をめぐって対立しているようにしか見えないのである。


というのは、遊園地側は一度利用制限を伝えてはいるものの、母親の説明で最終的に遊具の利用を認めているからだ。つまり表面的なルールとしては知的障碍者の利用が一律に制限されていたものの、個別に交渉した者に遊具の利用を認めているということになる。


記事の最後のほうで識者らは一律制限を否定し、付添人と従業員の相談によって個別に判断するということを提案しているが、母親との交渉で遊具の使用を認めたこの遊園地といったいどこがどう違うというのだろうか。


もちろん、知的障碍者の利用制限というのが表面的な文言に過ぎないものであったとしても、それに対して憤慨した当事者がいることも分かる。


また、遊園地側の担当者が代われば文言のほうが一人歩きして硬直したルールの運用をする者も現れるかも知れない。


だから抗議の声を上げることがおかしいとは思わない。


解決策として、利用制限そのものをルールではなく、あくまでも「ガイドライン」であると位置づけるような言い回しにすることが考えられよう。それほど大きな問題ではないはずだ。